関西ぐらし つれづれなるままに その2  by ルーメイ

わたしが住む兵庫県西宮から、電車で1時間ちょっと。いつもそこのお客さんたちに「遠く
から、よく来るね」と言われるが、ちっとも遠いとは思わない。
大阪府堺市にある「きらく」は、ちょっと郊外の道路沿いにある居酒屋さん。
ガラッとガラス戸を開けると、L字型のカウンター、こあがりにテーブルが3卓ならぶ他、
ほとんど飾り気がない。
仕事帰りの男性が一杯ひっかけるような雰囲気。
ところがこあがりのいちばん奥に、不似合い(?)なアップライトのピアノが置いてある。
そう、このお店は月一回、ジャズのライブハウスに変わるのだ。
レギュラーのピアノトリオめあてに、仕事帰りや近所の人・・・常連さんが集まって来る。
ライブ情報が雑誌やインターネットにのることもないので、口コミで集まる人ばかり。
ビールやチューハイを飲みながらアテ(おつまみのこと)はお造り(お刺身)冷ややっこ、
めざしなどの居酒屋メニュー。名前も知らない、顔見知りというだけで、アテをあげたり、
もらったり。
和やか気分で、間近に聴く生の音は迫力が違う。もちろんノーチャージ。
音響や証明は、お客さんが適当に調節する。だんだん盛り上がってくると、ステージ前に人
が集まり、ステージと客席がひとつになる。こんなにアットホームで、ホットなライブは、
ちょっと他にない。日本でいちばんニューオーリンズっぽいライブだと思う(わたしはニュ
ーオーリンズに行ったことないが)
わたしはいつも、思わずダンスしてしまう。メロディーやリズムに合わせて好き勝手に。そ
んなに広くないので、座っているお客さんや料理を運ぶおかみさんにぶつかりそうになりな
がら。ときどき何人かが一緒に踊ってくれる!
そんなときは、とてもうれしい。また、周りの方がのせてくれて、前でダンスすることも。
即興性の強いジャズだから、たがいに影響を受けたり、共振する楽しさがたまらない。決し
て上手ではないわたしのダンスを暖かく迎えてくれるみなさん、懐が深いと思う。
音楽や美術を愛する、きさくなマスターの人柄も大きいだろう。お酒飲みすぎてげタコダン
スになるのはイヤなので、控えめに飲むようにしているが、シメにラーメンを食べるのも楽
しみのひとつ。
むかしながらの素朴な中華ソバといった趣で、おいしい。これからの季節、おでんも始まる。
おでん&ジャズ。大阪ならではのシーンやな〜と思う。

※ニューオーリンズは、アメリカ・ルイジアナ州のジャズ発祥地。
ハリケーン「カトリーナ」襲来で、多くの犠牲者・行方不明者がでて、胸が痛む。歴史ある
ジャズクラブ、ピアノなどの水も浸かってしまっただろうか?一日も早い復興を祈ってます。