フィッシャーピアノ
団子三兄弟の弟分が岡山から来ましたのでKYOTO PIANO ARTまで会いに出かけてきました。
そしたら新しいピアノが完成しておりました。
昨年6月に工房に入ってきた古いアメリカ製のフィッシャーピアノです。
新井さんが大変な苦労をかけて完成させたピアノです。
独特の猫脚をご記憶の方もおありと思います。
完成後の画像です。
見てください。130年前のピアノの再生品と思えますか?弦やチューニングピン、フェルト、スキン
、クロスなどの消耗したり経年変化した部分はほとんど総替え、塗装も塗り直したら新品のピアノ
のようです。
しかし内部を見ると交換した部品と従来のパーツとの差が一目瞭然です。鍵盤は白鍵黒鍵とも張
り替えです。
昨年の6月のレポートで私が下記のように記したのを覚えておられるでしょうか?
ただ、新井さんが困惑したのがペダル箱がひどく小さいことでした。
右隣のヤマハ製のと比較したら一目瞭然のように寸法が短く、これでは足台を用意しなければピ
アニストはペダリングで難儀します。
新井さんがこの問題点をどのように解決するかが楽しみです。
このように補助パーツで補ってました。美的センスについては多少論議の余地があるでしょうが、
見事なものです。
そして楽器としての一番大切な要素は音色ですが、これがまた何とも言えぬ美しい音なのです。
国産のピアノには無く、スタインウエイやヴェーゼンドルファー、ベヒシュタインなど有名ブランドの
ピアノとも一寸違う美しい音なのです。うまく表現できないのですが可憐な乙女のような雰囲気
を持つ音色で、弟分の山本君も「綺麗な音だ」と誉めます。
これだけは是非実際に聴いてもらわないと解らないでしょう。
参考までにフィッシャーピアノの値段は220万円。
かつて工房内にあった4台のスタインウエイも2台だけになってました。
ルノアールの絵に出てきそうなピアノ,、イーバッハがまだ残ってました。
![](kyotopianoart06_thumb.jpg)
タッチに少し問題があり、それがネックかなと思った社員の女性技術者S.Sさんがある手を加え
ました。
画面のまん中あたりに白いフェルトのついた部品が横一列に並んでいるその奥に金属のレール
が付けられているのが判りますか?
これがS.Sさんが取り付けたパーツで、打弦したハンマーがこのレールについているスプリング
で勢いよく後にはじき返される、つまり俊敏なタッチが得られるのです。素晴らしい技術センスで
す。新井さんが考えもしなかった仕組みで、滅多に社員を誉めない彼が「俺には無い発想だ。た
いしたものだ」と絶賛します。私が若いS.Sさんをピアノ技術者として大変尊敬するのはこういっ
た面を知るからです。
それにしても複雑怪奇なアクションで、滅多に見られる代物ではありません。
このピアノの値段は160万円。
新井さん行きつけの「まごころ」での宴。
右端の女性がS.Sさん。今まで画像公表お断りを頑なに言い続けてきた彼女ですが、今回やっ
と許可してくれました。
その隣は女性調律師のK.Nさん。
KYOTO PIANO ARTの問い合わせ先
TEL:075-711-3923