ミュージカル「マリー・アントワネット」 2007.02.12

「マリー・アントワネット」をM先生母娘さんと一緒に行ってきました。
寒い季節に朝早くから並んでチケットを手に入れた「マリー・アントワネット」でしたが私にとっては
いささか期待はずれの内容でした。
もっとも見る人によっては民衆の側に立った物語ととして描かれていることに高い評価を与える人
もいるかも知れませんが、舞台劇には常に華やかさ、美しさを期待する私の趣味にはそぐわない
ものでした。
「エリザベート」「モーツアルト」とヒット作を次から次へと制作したミヒャエル・クンツとシルヴェスター
・リーヴァイのコンビの作品ですが、前2作、特に「モーツアルト」に比べると格段の差があるような
感じでした。
ま、私個人の独断と偏見による評価ですが。

左から高嶋政宏(オルレアン公)、土居裕子(尼僧アニエス)、石川禅(ルイ16世)、新妻聖子
(マルグリット・アルノー)、涼風真世(マリー・アントワネット)、鈴本玲奈(マルグリット・アルノー)
山路和弘(ボーマルシェ)、井上芳雄(フェルセン伯)

井上芳雄君は相変わらずかっこよいのですが、フェルセン伯爵という素晴らしい役柄なのに
そんなに重要なキャラクター扱いでなかったところが私がこのミュージカルに物足りなさを感じる
要因の一つでした。凄く華のあるキャラクターであり、圧倒的多数を占める女性観客のかなりの
人が芳雄君目当てで来ているのに、と思ってしまいました。
マリー・アントワネット役の涼風真世は元タカラジェンヌ。身びいきしたいところですが・・・

風貌が王妃役にはちょっと向いてない感じで、大勢の女性達の中にいても普通の貴族夫人という
ような雰囲気でした。

ただし、後半牢獄に幽閉されてからはガラッとイメージが変わり、落魄の王妃の高貴な雰囲気がよく
出てました。
王子を連れ去られるシーンのマリー・アントワネットのひどく取り乱して泣き叫ぶ様は凄い迫力でしたね。
さすが元タカラジェンヌと思いました。
後右からオルレアン公、ロベスピエール(福井寛一)。

際立って演技が目立ったのがオルレアン公爵を演じた高嶋政宏でして、冷酷な陰謀家としての不気味
さをよく顕していました。
一緒に観劇したM先生に指摘されるまで高嶋政宏とはまったく気が付かないくらいのメイクアップでした。
原作は遠藤周作の小説らしいですが、このマルグリット・アルノーが主役の感じで、虐げられた民衆を
象徴する存在として強い存在感を劇中出していましたが、私は宝塚歌劇のベルばらのような王妃と
スウェーデン貴族の悲恋の物語を期待していたので、民衆が徐々に不満を募らせ、やがて革命へ立ち
上がるまでのストーリー展開は下町のパッとしない舞台の光景と相まってうんざりとした気分にさせられ、
ときには居眠りしそうになってきたくらいでした。
集合写真に入りきれなかったのですが左側がカリオストロ役の山口裕一郎です。まん中のマルグリット・
アルノーはダブルキャストで私たち見たときは新妻聖子でした。

公演終了は8時半でしたが私たちはもよりの居酒屋に行って会食し今日の舞台について楽しく歓談した
ものでした。
それにしてもM.ユリナさんのミュージカルに対する造詣の深さには驚嘆させられるものがあります。