12/15 2004掲載

ハナパパの

ヒマラヤトレッキング報告 Part4


11月18日

朝起きると、あたりはガスで真っ白け、おまけに雪がちらついている。
昨日ゴラクシェプに泊まっていても、この状態ではエヴェレストBCにはいけなかったとの事、
無理しなくて本当に良かった。
朝食後、下山を始めるがガイドの朝食が終わるのを待たずに一人で先発したため、見事に道を間違える。

(昨夜の宿トゥクラ、間違えた道から)

少しばかり遠まわりになったが、ゆるやかな下り道、まして目的を達成しての帰り道、ノープロブレム、、

(本当の道は右下の谷筋の道)

1時過ぎに今日の宿泊地デボチェ3710mに到着する。このあたりになると林が現れる。松、杉、檜、みたいな感じ。
登る時には、あまりの苦しさに周りの景色には殆ど目が行っていなかったので、新鮮に感じる。

(ヤクが来ると山側によけて通り過ぎるのを待ちます)


宿の周辺にはかなりの広さにわたって石楠花の原生林があった。
開花期の4〜5月は真っ赤な花が見事だそうだ。

(道の両側は石楠花の原生林)

(今日の宿)


11月19日

昨夜もゆっくり寝られた、このあたりでも富士山の山頂付近の高さではあるが、上の方と比べると、
寒さ、息苦しさが全く違う。朝食後今日の宿泊予定地ナムチェに向かう。
ティンボチェのずっと先まで石楠花の原生林が続いていた。登る時には全く目がいっていなかった。
幹周りが1mをこすような大木がある、こんな厳しい自然環境の中でのあの樹の大きさでは、樹齢
1000年位たっているかもしれない。開花期にまた訪れて見たい気がする。殆ど下り道、たまに

登りがあってもこの辺りに来ると呼吸の楽なこと、12時半にはナムチェに着いた。
昼食を食べ、一休みしてナムチェのメインストリートに土産物屋を冷やかしに行く。
通りは各国の登山者でにぎわっている。有名なエヴェレストベーカリーでクッキーとコーヒーで一休みをした。
8日ぶりに電気のある世界に戻ってきた、店に電気がともり、BGMが流れている。
ここのロッジでは別料金を払えば熱いシャワーを浴びられるが、まだ風邪っけがぬけてなくて我慢する。
着たきりすずめだった下着一式を全部着替えた。


11月20日

昨夜は、その前日と同じ格好で寝たら、熱くて夜中に起きた。
着てる物を調節して、寝直したら6時までグッスリ寝られた。来る時にあえぎながら登った道を楽々下る。

(日本の風景みたい)

足元ばかり見て殆ど見えてなかった景色を堪能しながらの下山、途中最後にエヴェレストが見える地点で
お別れの休憩をした。国立公園のチェックポストで下山の手続きを済ませ、予定通り12時にパクディンに到着。
(ここの宿に漫画みたいな犬がいました)

急げばルクラまで2時間の行程だが、カトマンズへの飛行機は22日なのでここで時間調整。
このあたりは既に2000m台になっているので、少々の登りは何とも無くなった。
目的の達成も出来ているので、精神的なものもあると思うが、、。長く、苦しかったトレッキングもいよいよ
明日で終わる。今までの人生でこんなに歩いた事があっただろうか?無いに決まっている。
よく壊れもせずに耐えてくれた身体に感謝しなければいけない。
明日は2時間の登りのコース、トレッキングの最後のコースを楽しんで歩きたい。


11月21日

6時に目が覚めるが、寝袋の中でぐずぐずして楽しむ。8時半に出発する。
このあたりの景色は、木々も大きく、植生も日本のそれと似ていて、日本の山奥の雰囲気とよく似ている。

(紅葉が綺麗でした)

今日はすれ違う人が少ない、きっと飛行機が飛んでないのかもしれない。
話によると、飛行機は谷間を有視界飛行で飛んで、尾根筋にあるルクラの飛行場に着陸しなければ
いけないので、ガスが出ると直ぐ欠航するとの事、来るときの遅れも、そのせいだった。
11時半に無事ルクラのホテルに到着。

(真ん中の斜めの直線の丘がルクラの飛行場)
これで無事今回のトレッキングが終わった。


11月22日

朝の飛行機で帰る予定だったが、色々な事情で、結局2時くらいの便になり、3時に
カトマンズに帰り着く。

(帰りの飛行機が着きました)
タクシーでホテルまで送ってもらい、最初にした事は風呂に入ること、、。
夕食は、12日間全く口にしなかった肉を食べにステーキハウスに行き、400gのヒレ肉のステーキを
食べながら、寂しく一人で無事トレッキングを終わったことを祝いました。


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あとがき


今回のトレッキングでわかった事、感じたことを書き留めて置きたいと思います。


服装は、九州の冬山程度を予想していましたが、おおよそ良かったような気がします。

現地で厳冬用の寝袋、ダウンジャケットをレンタルしましたが、寝袋の使用方法に慣れていなかったので、
熱くて汗をかいたり、寒くて目を覚ましたりと、熟睡できず、体力低下や、風邪をひくなどのトラブルを起こした。


食事は当初心配したとおり、全くひどかったです。
宿に着くと夕食の注文をまずとられますが、見せられたメニュウーでオーダーしてもことごとく裏切られました。
似て否なるものが現れる、それも絶対不味い。しかし食べなければいけないので、カレーをご飯にかけて、
無理やり流し込むような毎日の食事でした。
又、2日目の夜食べたチキンカレーを最後に、ガイドから、保存状態が悪いので肉類を食べて食あたりでも
起こせばトレッキングが出来なくなるとのアドバイスで,3日目から最後まで野菜カレー、野菜スープなどを
食べてすごしました。(こんなこと生まれて初めて)


高山病の知識不足、個人差があって、70歳近いようなジイサン、バアサンが平気で登って来てたり、30歳
前後のマッチョなドイツ人が途中でダウンして引き返してきたり、さまざまでした。
時間をかけて少しずつ登ればかなり防げるそうなので、余裕をもって計画するのがベストみたいです。
それと普段から水分を良く摂る習慣をつけていたらよいみたいです。


エヴェレストを少し甘く考えていました。9月の九重山の合宿までは週2のトレーニングをしていましたが、合宿が
終わってから出発までの1月半はせいぜい一時間位の犬の散歩しかしていませんでした。
やはりそれなりのトレーニングは必要でした。


電気の無い生活って想像出来ますか?
3日目から11日目まで電気の無い生活でした。ソーラー発電でバッテリーに充電し食堂には12vの豆電球が
9時まで灯りますが、それ以降は懐中電灯が無いとトイレにもいけません。
部屋の中はシンプルで良いですよ、電気製品が一切無い生活、食堂の真ん中にストーブがあるだけ、その周り
で話される事だけが、外部の情報。近くの村や、次の宿泊地の予約も、全て人伝。
それでも全く困りませんでしたし、全く不便とも感じませんでした。


空気の薄い事がどれだけ辛いことか、本当にゆるい斜度でも上りになるとすぐに息が切れます。
階段を登るとなると一段一段毎に、深呼吸が必要です、又下りになってもゆっくり降りなければすぐに苦しくなります。
昼間はまだ良いんですが、夜になって寝ると呼吸が浅くなっては、苦しくて深呼吸をしたくなり目が覚めます。
一度、生まれて初めて幻覚を経験しましたし、酸素不足の水に入れられた金魚の気持ちが良く理解できました。


本当に辛く、苦しい今回の旅でしたが、今になって振り返ると良い思いでです。
良い経験が出来ました。今回の反省を踏まえて、次回に望もうと思っています。


Part3はこちら
 

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