12/14 2004掲載

ハナパパの

ヒマラヤトレッキング報告 Part3


11月14日

昨夜は、風邪薬の副作用か、高山病の兆候なのかとにかく頻繁に尿意をもようしトイレに十数回行く、
そのたびに身体が冷えて殆ど寝られなかった。
今日は特にどこまで移動しなければと言うのが無いので気が楽ではあるが、予定では4700mにある
村まで登り、4200mのぺリチェに戻るということになっているので、とりあえず出発するが、やはり睡眠
不足に、高度から来る息苦しさに足がまるで進まない。
それでも4500m位まで登るが、そこが限界だった。
(一番右端がマカルー)

相変わらず足が重くわずかな登りでもつらいし、さすがにこの高さまでくると一歩一歩で深呼吸しないと息が
苦しい。
(4500m地点にあったヤクの放牧小屋)

宿に引き返し、預けていた荷物をとって、今日の宿泊予定のぺリチェに向かう
(宿の子供)

12時過ぎに到着し昼食を食べ風邪薬を飲んでベットに横になるが、2時間くらいしか寝られなかった。
夕食後8時過ぎに寝袋にもぐりこむが2〜3時間うとうとしただけで、息苦しく、殆ど寝られなかった。

(今日の宿泊地ぺリチェ、右上の方向が明日の行く先)
(今日の宿)


11月15日

今日の予定はロブチェ4910mまで、いよいよ核心部分に入ることになるが体調が良くない。
8時に出発し最初は氷河の河床部の比較的ゆっくりした上りだったが、トックラ4620m
という所で昼食を食べ、本格的に上り始めると息が苦しくて苦しくて、それでも何とか4900m
付近の峠まで上がったけど
・・・
完全にダウンしてしまった。

(引き帰した地点、ケルンはエヴェレストで無くなった人たちの慰霊碑)

おまけに頭痛までしだし、ガイドのサロ君から顔色も青くなっているから無理をしないほうが良い
といわれて、ぺリチェまで泣く泣く引き返すことにする。
この時点では最終目的地のカラパタールへ行くのは諦めなければいけないんだな、と思ったので
記念に石を拾ってザックに入れた。
宿に帰ってからもなかなか頭痛が引かず、夕食時に、顔が少しむくんできたようだから薬を飲み
なさいと、高山病に効くといわれるダイアモックスという利尿剤を飲まされ、水分をたくさん取らな
ければいけないということで、ミネラルウオーターを1リットル飲まされる。
とたんに尿意を頻繁にもよおしトイレ通いが始まったが、頭痛のほうはだんだん治まってきた。
9時過ぎに寝て、途中4〜5回トイレに起きたが、その間はぐっすり寝ることが出来た。
自分で熟睡出来たと思ったのは、山に入って始めてのことだった。


11月16日

朝起きると、頭痛も完全に取れて身体の調子が良い、軽い感じがする。
昨夜サロ君と下山についてどうしようかと話し合っていたが、この調子なら行けそうな気がするし、
諦めて帰ったら、今度は何時こられるか、又その気力が出るかどうか自信が無い。再挑戦する
ことにする。昨日下ってきた道を又登りなおすが、今日は足取りが軽い。
(今日はなんとか登れそう)

昨夜の熟睡のおかげだと思う。昨日と同じ所で昼食をとり、昨日あれだけ苦しんだ峠道をクリアーし
4910mのロブチェに2時ごろ到着。

(今日の宿からの風景、テントはカラパタールへのキャラバン隊のもの、山はヌプツェ)

これで入山以来始めて、目的地のカラパタール5550mに行けるかも知れないという気がしてきた。
夜食堂に35歳前後の日本人の女の子が入ってきた、初めて日本人と同宿、久しぶりに思いっきり
日本語で話せた。彼女は高山病は全く無いとの事、又既にチュクンリという5550mのピークに登り、
カラパタール、エベレストBCに行き明日はチョラパス5330mを越えて、ゴーキョピーク5360mに向
かうとのこと、元気の良さに脱帽。昨日飲んだ利尿剤を今日も飲まされる。
飲みだした高度を下回るまで飲まなければいけないとの事、水分も取らされる。
今日は宿が一杯で、インド人のグループの一人と部屋をシェアするが、今までで一番狭い部屋、
ベッドの間が30センチも無いくらい。悪い予感が現実になり9時過ぎにベッドに入るが、30分おき位に
尿意をもよおしトイレに行く。
隣を起こさないように気を使わなければいけないし、起きればせっかく温まった体が冷えてしまうし、
結局殆ど寝られなかった。


11月17日

5時半起床、インド人に謝るが、本当に申し訳なかった。
朝食を摂らずに6時に出発。

(今回の最終目的地カラパタール、茶色の部分のとんがった所、後ろの山はプモリ7165m)


今日の予定は、5100mのゴラクシェプという最高度の宿に行き荷物を置いて、そこで朝食を摂り、
カラパタールに登頂してゴラクシェプに戻りそこで泊まる。そして明日はエヴェレストBCに行ってロブチェ
まで下る。という予定を立てていました。
9時に着く予定でしたが、昨夜の睡眠不足と、高度から来る息苦さで足が進まず、9時半到着。
食欲が全く無いが食べないと登れないので、スープヌードルを注文する。
味噌汁椀位の容器にインスタントラーメンが入って出てくる、それを無理やり流し込んで、10時に出発。
頂上まで3時間の行程だが、出来るだけ早く上がりたい。この所ずっと晴天が続いているが、どうにかすると
午後になるとガスが出てくるからだ、ここまで来てガスって何も見えなかったら泣くになけない。
しかし気持ちとは裏腹に身体が少しも反応してくれない、この高度になると一歩足を進めるごとに深呼吸
が必要だ。又20歩ごとに2〜3度深呼吸しなくてはいけない。

途中で休憩をしたら足が進まなくなりそうなので、休まずに登り午後1時にカラパタールの頂上に着くことが出来た。
(途中にあった標識)
(ついにピークに立てた)

すぐそこに世界の最高峰がある、すごいとしか言いようが無い。
カラパタールからのエヴェレスト

あの頂上に立とうという発想はどこから出てくるんだろうというのが打ちのめされた体と、頭からくる感想。
強靭な体力と、強靭な意志を持つ天才にのみ許される行為だと、思いました。
世界の名峰に囲まれ最高の天気の中、素人でこられる最高度の場所で幸せに浸っていましたが、
また激しい頭痛が始まってきて、あれだけ苦労して登ったのに15分位しか頂上にいられませんでした。
(今まで歩いて来た方向)
(カラパタールの頂上)

下山途中雷鳥みたいな鳥を見かけました。


ゴラクシェプに3時戻りましたが、頭痛がひどく、今晩ここに泊まれるか自信がありません。
ガイドは自分で判断してくれと言うし、下るとしても時間はぎりぎりのところでゆっくり考える時間もありません。
昼食を食べてなかったのでパンケーキを注文しましたが、まるっきり食欲が無く、四分の一位無理やり食べました。
こんな状況ではとても5100mに滞在は出来ないと思ったのでエヴェレストBCは諦めて、下山を決断しました。
(クーンブ氷河、土砂の下は氷)

3時を少し過ぎていましたのでもう谷間は日陰に入っていて寒くなっていました。
息が苦しいので、下りでも急げませんがそれでも出来るだけ急いで、いよいよ日が落ちるぎりぎりで今日の出発地の
ロブチェに戻ることが出来ました。
(夕闇迫るヌプツェ)

ところがこれで今日のTHE ENDにはなりませんでした。
ロブチェには宿が4軒しかなく全部満室で、無理を頼めばドミトリーに寝かしてくれるかもしれないが、との事。
もし身体が持つならあと2時間下った所にある宿なら間違いなく部屋があるからとサロ君に言われ、そうすることにする。
完全に日が落ちてしまい、細い三日月の月明かりをたよりに下山する。
2時間半ほどかかってトゥクラ4620mまで降りることが出来、宿を確保することが出来た。
しかし疲れ果てて頼んだ夕食は、半分くらいしか喉を通りませんでした。
昨夜は殆ど寝てなく、食べたものは味噌汁椀一杯のインスタントラーメンとパンケーキ4分の一。
休んだ時間が全部で一時間くらい。朝6時から行動を開始して。トゥクラに着いたのが7時半。
4900mから出発し、5550mまで登り、4620mまで12時間以上歩いて、、、。
どこにそれだけの体力があるのか自分自身びっくりしました。今日は4人部屋を独り占め、さすがに疲れきって
グッスリ寝ました。
夜トイレに起きて外に出ると満天の星空、その星の大きいこと、寒いのでゆっくり楽しむことは出来ませんでしたが、、。

続く・・・・・


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