大峯・上多古(こうたご)渓谷の部分遡行   1998.07.19

大峯山系に無数に存在する渓谷は全国的に沢登りの名所として有名であり、ロッククライミングやザ
イルワークに熟練していないと遡行は不可能というグレード4級の渓谷もいくつかあります。
その中で比較的初心者向きと大峯の解説書に載っているのがこの上多古渓谷なのですが、二度ほ
どアタックして二度とも失敗して敗退した谷です。
その最初のときは私の登山歴の中でも最大の危険度と緊張感を強いられた山行となりました。
『恐怖の谷・沢遡行失敗記』

しかし、この上多古渓谷はこの谷の最大の滝、洞門の滝や神秘な雰囲気を持つ幸次郎窟までだと、
素人でも危険無しに行けるので、大峯に深い関心を持つよっころりんさんをお連れしようではないか、
とKO-BUNさんにもちかけたところ、彼も快諾したのでよっころりんさんを誘いました。
彼女は大喜びで友人の中国人ツイイさんを誘って来ました。

林道詰めまで車で来て、そこから沢に入ります。
猛暑の日でしたが谷は渓流沿いに風が吹くので涼しいことこの上なく、最後に山腹の山道を下山する
とき以外は暑さを感じたことはありません。
夏は沢歩きに限ると、全国から沢屋が大峯の谷にやってきます。


よっころりんさんの足下をご注目。
ウール製の厚手の靴下なのです。
沢歩きをするとき、濡れた岩場や苔むした岩場では抜群のホールド力をもつわらじを履くのですが、
ウール製の厚手の靴下も同じ効果を持つので、彼女たちに持参するよう指示していたのです。山道
を歩くときはその上から登山靴を履けばいいのですから、至極便利です。
わらじだと沢歩きや山道が交互に変わるたびに、履き替えなければならず時間を取るのです。濡れ
た靴下は歩いているうちにすぐに乾きます。

大岩の累々と続く中を遡行していきます。

双竜の滝の奥に、この谷最大の滝、洞門(どうもん)の滝が見えます。

洞門の滝の前を横切る岩場を行きます。
途中、滝壺そばを通るところはナイフの刃のように痩せていますが、足場がしっかりしているので危
険性はありません。
どんなに苔むした濡れた岩場でも滑る心配無しにホイホイオと歩ける快適さによっころりんさんは
歓声をよく上げてました。

この谷最大の落差を誇る洞門の滝(43メートル)

洞門の滝の左側の斜面を上っていきます。
洞門の滝は大きすぎて全容がカメラに収まりません。

洞門の滝の落ち口付近はこのような急な崖となってますが、ここも足場がしっかりしているので危険
性は無し。

洞門の滝を登り切ると平坦な道となり、幸次郎窟のところで砂州となっている浅瀬を対岸に渡るので
すが、何故か幸次郎窟の画像が無く、いきなり、下山路の画像です。
これは洞門の滝には面していない谷の山腹で、最初はかなり急なのですがすぐさまなだらかなジグ
ザグ道に繋がるのです。
初めて上多古谷にやってきたときに道に迷い、山の中で一夜ビバークして翌日、必死になって下山
路を探して見つけたのがこの道なのです。
だから今回こうやって難なく、下山路を目指すことができるのです。

最初の急な斜面は女性たちが怖がるので先に降りたKO-BUNさんが介添えします。

あっ、いいな!よっころりんさんを抱きかかえて・・・

こうして楽しい夏の日帰り大峯渓谷ミニ遡行は終わりました。
(了)