ミュージカル「四月は君の嘘」 2025.09.19

表題のミュージカルを見てきました。
ロンドの会仲間の東島鋭さんの息子の東島京(ミサト)さんがダブルキャストで主演するからです。
上演される梅田芸術劇場は7、8年前にミュージカル「モーツアルト」を観に行ったとき以来です。
ポスターを見ると高校生服姿の男女が4人写っているので学園ものかと思ったのですが、確かに学園もの
には違いないのですが、母の死をきっかけにピアノの音が聞こえなくなった元天才ピアニストの男子高校生
が自由奔放なヴァイオリニストの女子高校生との出会いを通して再び音楽の世界へ踏み出すというストーリ
ーで、随所にクラシックの名曲が奏でられ、しばしのピアノ、もしくはヴァイオリン演奏が楽しめるというクラシ
ック音楽ファンにも楽しめる内容です。
まだ上演が続くので結末は記しませんが、隣席の短パンに筋骨隆々のたくましい若い男性がラストあたりで
はしきりに鼻をすすり、前の席の老人らしき男性は眼鏡をとってハンカチで目を拭いているという反応を観客
にさせる終わり方です。

集団のダンスの揃っていることは宝塚歌劇並みで、どれだけの練習をしてきたことだろうという一糸乱れぬ早
いテンポのダンス、そして合唱のハーモニーの美しさに感銘を受けるのですが、驚いたのが主演の東島京さん
の歌唱力です。
私は同劇場大ホールで「モーツアルト」を3回、「シンデレラストーリー」、「グレート・ギャツビー」で主演の井上芳
雄さんの歌唱を聞いてきていますが、まったく見劣りのしない朗々たる声量と表現力で、主役なのに地味な演
技が多い役柄の中で歌唱力では他を圧倒していました。
その時点では彼が今までにかなりの数の舞台を踏んできていることなど知りませんでしたから、これは絶対に
将来ミュージカルのスターになると思ったものでした。
帰宅してからウイキペディアで彼のことを調べたら何と華々しい履歴であり、すでにスター的存在であることを
知ったのでした。
ウイキペディア記事
https://ja.wikipedia.org/wiki/

7、8年前でしょうか、京さんが中学生のころに少年少女たちで編成されたミュージカル「むしめがね」に出演した
のを見たことがあるのですが、それ以来の今回の飛躍の舞台ですからもう衝撃的でした。
そしてピアニストやヴァイオリニストが主人公たちですからピアノやヴァイオリンの名曲が随所に出てくるのですが、
本人が弾いているのかと錯覚するほど、当て振り(実際には演奏していないのに演奏する振りをすること)の演技
が凄いのです。
冒頭に小学生らしき少年が月光の第三楽章を弾くシーンが出てくるのですが、演奏と体の動きがあまりにも完璧
に一致しているのでこの曲を弾ける子役を探してきたのかと思ったのです。
しかしその後の主人公たちが演奏するピアノやヴァイオリンが難易度が高い曲ばかりゆえ、当て振りだと思った
のです。
ベートーヴェンの「月光ソナタ3楽章」にサンサーンスの「序奏とロンドカプリチオーソ」、ショパンの「バラード1番」と
聞いたらクラシックファンだったら素人がどんなに練習しようと簡単に弾ける曲ではないことはご理解いただけると
思います。
念のために父親の東島鋭さんに確かめたところ、当て振りだということでした。
それにしても当て振りは完璧で、「序奏とロンドカプリチオーソ」を弾くときの弓さばき、とビブラートをかける手の動
き、姿勢のゆらぎ方が奏でられる音楽とまったくずれないのです。天才的当て振りだと思いました。

それと当て振りでピアノ演奏をしているのに烈しい手の上下運動を伴うのに生のピアノの音がまったく出ないのが
不思議でした。何かの拍子に鍵盤に手が触れ、音が出そうなものだからです。
サイレントピアノを使用しているのか、それとも調律師がハンマー列の上にフェルトをかぶせて音が出ないようにし
たのかと思ったのですが、それは確かめていません。
いずれにしてもこの当て振りのシーンは見ものです。

舞台には軽量鉄骨らしきもので組み立てられた2メートルくらいの高台が二つ用意されて立体的構造になっている
のですが、ここに上がる階段を皆が大勢で駆け上って高台の上でステップを踏んだり、また駆け足で降りていくのを
見ていて、よくも足を踏み外さずにできることよ、と半ばハラハラする思いで見たものでした。
しかも舞台が回転するときにその高台も動きだすのですが、揺れ動くことなく、演技を続けるのです。私だったらしゃ
がみ込んでしまうことでしょう。
長期間の稽古の中で事故は無かったのだろうかと思いました。
このように何もかもが驚きの2時間35分の公演でした。

観客は若者が圧倒的に多かったですね。
S席14.500円、A席10.000円、B責5.000円と決して安くないチケット代なのにあっと言う間に売り切れたというの
ですから、このミュージカルの物語は若者たちの間ではかなり知れ渡っていたのだと思いました。
東島さんが用意してくれたS席は11列39番という抜群に素晴らしい席でした。
劇場ではロンドの会仲間のクロカワさん夫妻に会いました。
京さん出演のミュージカルはすべて見てきているそうです。
私は井上芳雄さんと東島京さんという、友人の息子がミュージカルスターになるというご縁に二度もめぐり会うことに
不思議な思いになります。
京さんもやがてミュージカルのプリンスと言われた井上芳雄さんのようなスターになることを願っています。

井上芳雄さんについては下記のページをご覧になってください。
http://hmpiano.net/koharu/
「四月は君の噓」はダブルキャストで、このあと京さんは富山と神奈川での公演に出演するそうですが、どの公演が
京さんのものかは今のところ判りません。
25/10/04 (土) 12:00 富山
25/10/04 (土) 17:00 富山
25/10/05 (日) 12:00 富山
25/10/12 (日) 12:00 神奈川
25/10/13 (月) 12:00 神奈川