11/18 2005掲載

 v.K. レポート

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 父が建てた病院が老朽化したので、建て替えないと存続できない。他の選択肢はありませんでした。
しかし運がいいのか悪いのか、九州大学が近くに移転することになり、福岡市が区画整理事業を始め
たので様々な規制が掛けられ、勝手に建築をすることは出来なくなり、計画がなかなか進みませんでした。
そうなると自分の年齢との戦いでもあります。まあ、大変でした。

 今度の建築では小学校から大学までの、多くの同級生および同窓生の方々にお世話になりました。
わざわざ電話してきて「おまえのとこ、病院建て替えるとやろう? 俺ん会社の上質の建材を安く入れてや
るけん、使いやい」といった調子です。ここで一人一人名前を挙げて御礼を申し上げたい気持ちですが、
うっかり抜けていたりすると大変です。御礼は今後直にお会いした時述べさせてもらいます。

 そういうふうに物事が進んだのも、このホームページが在ったからだと実感します。
編集長には改めて礼を申し上げます。
 
編集長の内覧会レポートと合わせてご覧下さい。
 

外観はこんなところです。ガラスのカーテンウオールの下方、引っ越しのトラックが止まっているところが玄関です。


玄関を入ったホール。お花や観葉植物をどっさり頂きました。間接照明が第一印象を良くしたようです。


ホール右手にレセプションがあり、その前を奧に行くと、


外来診察室が並んでいます。暖かい、柔らかいというお言葉を多くの方から頂きました。


診察室は3室用意しました。神経科、精神科、心療内科、東洋医学科(内科)を標榜していますので、その
診察に合うように特化し、3室それぞれ違う内装にしました。
これは第1診察室。南ドイツ風赤みがかった木貼り内装と、モダン・イタリアンの診察机。


第2診察室は和風。和紙を貼った温白色の照明。天井には解体した旧家から持ってきた梁。窓には御簾(みす)風ロールカーテン。
ところで後方の白いパネルは何でしょう?
実は輻射・吸熱型エアコンです。冬はお湯がパネル中を流れ暖房を,夏は10℃前後の冷水が流れ冷房をします。
11月中旬現在28〜30℃の微温湯が流れていますが,室内は実に快適です。


ここは薬局。さあ、病棟に上がりましょう。


精神科病棟といえば扉で閉ざされた空間でした。この新館も2/3は閉鎖病棟ですが、扉はガラスの自動扉に変わりました。
しかしここならでの装置が付いています。上はテレビカメラ。下は非接触型カード鍵です。クレジットカード様のカードをここに
近づけるとドアが開きます。病棟の中も明るい。


木漏れ日射す病室。


窓の外には清楚な竹林。


これを整備してくれたのはよいよい会の練達調理師。150人分の朝食を一人で作る手際の良さがここでも発揮された。


病棟廊下。もっと植裁を置きたかったが、小さい鉢は振り上げると凶器になる。加えて看護婦さん、
「葉っぱを食べる患者さんがいるから、やめて下さい。」


食堂はいい名前が見つからず、結局間際になって「ザール」、つまりホールのドイツ語。鏡の奧に映っているのは喫煙室。
精神科はなかなか全館禁煙とはいきません。煙草の自販機は撤廃しました。


ザール。前の写真の右方向から、左方向を見る。


さよさんにモデルになってもらったここは保護室。いわゆる鉄格子の部屋。興奮激しい人や自殺の危険のある人に入ってもらいます。
保護室の設計は病院関係者も建築家も工夫をこらし、細心の注意を払って建築するところです。裸のまま寝入る人もいるので、
冷暖房も工夫が必要です。鉄格子は少しはスマートになりました。内外2枚のポリカーボネート板が取り付けられています。


ナース・ステーション。新館にはパソコンを約50台設置しました。一気に30台増です。各階ナース・ステーションには6台ずつ置きます。
実は今年初め頃K.mitikoさんが骨折入院レポートを書かれた時のことです。体温測定も公立大病院はメディカル・エレクトロニクスで
スマートに、一方民間病院は紙と色鉛筆でたいへんそうと、同情を交えて書かれていました。
当院では近々体温表のパソコン表示をスタートします。私と職員とで、Excelを用いて独自の物を作りました。ソフトは市販の電子カルテ
は高価なばかりで役に立つ物がありません。当院では患者データを初め記録のデジタル化を独自に粛々と進めてきました。私は福岡県
の委託を受けて県内あちこちの病院に出張しますが、当院に勝るところはまだ見あたりません。
 
5階が最上階です。

カフェテラス・イタリアから屋上庭園を見たところ。面会に、気分転換に、作業療法の一環に。


伊都ホール。スポーツに、講演に、雛祭りやクリスマスの催しに。


作業療法室。内覧会では皆さん思わず
「うわーっ、景色いいー!」
5階は特に明るいフロアです。今回病院を取り巻く環境にも賛辞を頂戴しました。南に竹林、西に桜の丘、北に・・


写真右奧に毘沙門山。あの海岸で編集長ラジコンやるんでしょうね。もっと右には能古の島が見えます。
左奧には今年3月の地震で有名になった玄界島。高架はJR九州筑肥線。写真右はみ出たあたりに新駅「九大学研都市」が今年9月開業しました。
駅から当院まで徒歩8分。九大様々です。


最後に厨房。250人分の食事が作れます。手前が調理室。奧は前処理室。某練達調理師から絶賛されました。


食事を運ぶ保冷保温車(正しい名前をまだ覚えてません)。
トレイの左半分主要部分は保温状態で、右半分ミルクやデザートは保冷状態で患者さんの手元に届けます。

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