12/25 2006掲載
by v.K.
前回掲載しなかった写真をまず追加します。ドイツ史は今回お休みします。
ヘレンキームゼー城の鏡の間。夜になって蝋燭を灯すと、豪華という表現に優雅を付け加えねばなりません。ここでの室内楽はコンサートホールで聴くのとはまた違う、格調高い雰囲気がありました。
ヘレンキームゼー城。国王の寝室。これもヴェルサイユをそっくり模倣したのでしょう。ルイ14世は朝の洗顔から排便まで、すべて儀式として行ったそうです。すごい心臓の持ち主ですね。ルートヴィヒ2世も実際このベッドで寝たそうです。
リーダーホーフ城の近く、オーバーアマーガウはキリストや聖母マリアや天使の木彫で有名です。娘の部屋に笛を吹く天使像がありました。言い忘れましたが、リンダーホーフとは菩提樹の館の意味です。
<<Schloss
Neuschwanstein シュロース・ノイシュヴァンシュタイン>>
さていよいよ本題。幻想の、
新白鳥の石城。北側から見たところ。
ルートヴィヒ2世の肖像を、あらためてここに掲げておきましょう。この凛々しい国王にこの幻想のような美しい城。本当にお伽噺の世界ですね。でも実際には彼がこの城に寝起きしたのは、40歳になった頃の、たった数十日間だけだったのです。
冬のノイシュヴァンシュタイン城。東側から見たところ。アルプス山塊が平野に移行する、小さな頂の上に孤立して立っています。城の基礎も、大がかりな工事をやったようですね。
ある夏の日、私たちも行きました。屋根の内側は
ルートヴィヒ専用の劇場になっています。後で出てきます。
城の東側にある、このつり橋の上から撮りました。橋の下には清流。
撮ったのは私でーす。
おや、大学生になったくららちゃん。 私もおじさんになって登場。
くららが撮った、城の西側の平野。海抜700メートル位だから、大半が牧草地。迫り来るような雲の波。地上には光と影のコントラスト。赤い屋根のアクセント。遠方に湖水。なかなかいい写真だね、くらちゃん。
湖水の向こうに、、。
ミュージカル
「エリザベート」を上演するために、建てた劇場だそうです。
この周囲の地理を紹介しておきます。ここあたりは
アルゴイと呼ばれる地方。アルゴイといえば、ドイツの人は美しい保養地を連想します。図は北から南を見たところ。
ノイシュヴァンシュタイン城は図の左隅(矢印)、アルプス山塊の小高い山の上にあります。背景雪をかぶったアルプスの、
手前はドイツ、遠方はオーストリア。右隅わずかにスイスです。
緑線で囲んだ地域はオーベルストドルフ(訳:最も高いところの村)といって、スキー・ジャンプ競技のワールドカップで有名なところ。
その上方、赤線で囲んだ地域はクラインヴァルザー谷といって、やはりスキーの盛んなところです。
一度
クラインヴァルザー谷にスキーに行きました。ここのユニークなところは、ここは
実はオーストリア領なのですが、上の図を見てもわかるように地理的にはドイツに結びついていて、オーストリアの他の地方から直接ここに来る道はありません。クラインヴァルザー谷に入る前に国境がありますが、それは名ばかりで、福岡県から佐賀県に行くようなものでした。通貨がユーロに統一される前はここでの通貨はオーストリア・シリングではなく、ドイツ・マルクでした。ここにスキーに行く利点は少しだけ物価が安いことでした。でもユーロに統一された今、その利点はまだあるのでしょうか?
小さなくららにスキーを教える、優しいパパ v.K.
オーストリア・ドイツ・スイスのアルペンランドでは、
ブッツェンマンデルという、わら蓑をまとって怖いお面をつけた鬼がいて、悪い子を懲らしめます。秋田の鬼すべとよく似ています。一度オーストリアのテレビで、ザルツブルクのブッツェンマンデルのドラマを見たことがあります。なんと楽しく、伝統を守り、心なごむ風習だろうと思いました。
さて、ノイシュヴァンシュタイン城に戻ります。城の正面は
ロマネスク様式の柱が並ぶ窓と、塔を模した左右の出窓が特徴的ですが、入り口は拍子抜けするほど質素なものです。行く度にこれは国王の入り口なのか、使用人の勝手口なのか迷いました。映画「ルートヴィヒ」ではここが出てきましたね。はるばる尋ねてきたエリザベートにルートヴィヒの家来が「国王陛下は、どなたにもお会いにならないそうです」と伝えるシーンでした。エリザベートは階段をドアの前まで上り切ることなく、きびすを返して去りました。
城に入るとすぐ、王座の間があります。しかし段の上に王座が置かれることは、ありませんでした。
王座の壇の半球形の天井には、キリストを中心にした聖人や天使たちが
ビザンチン様式にて描かれています。かなり古い写真ですが、フォトショップの威力でこんなに綺麗に再生できました。
ルートヴィヒの執務室。ヘレンキームゼーがルイ14世にあこがれたキンキラのバロック装飾で、リンダーホーフがロココ装飾であったのに対し、ノイシュヴァンシュタイン城の内装は
ニュー・ゴシックが基調です。ゴシックは中世に流行った古い様式なので内装素材も乏しく、木が中心となりました。この部屋も壁や天井や机の木材に美しい彫りが施されています。部屋部屋の壁には幾つもの絵が施されています。すべて彼が心酔した
ワグナーの歌劇のシーンを描いたものです。映画「ルートヴィヒ」のはじめの部分で、彼が「国王として民衆のためにする良いことを見つけた。ワグナーをバイエルンに招くことだ」と言い、臣下を唖然とさせるシーンがありました。
ルートヴィヒの居室。
「白鳥のコーナー」と呼ばれる、結構名の知れた一角だそうです。私(v.K.)はワグナーの歌劇は観たことありませんが、ルートヴィヒは
白鳥の騎士ローエングリンにあこがれ、ために城に白鳥の名をつけ、城のあちこちを白鳥で飾りました。また度々自分自身をローエングリンと、希望的に妄想化しました。
白鳥の置物。実際の白鳥は結構気が荒くて、攻撃的なんですよ。近づくと危ない。
凛々しかったルートヴィヒも少しづつおじさんになりました。国王として公には左のような肖像画が描かれますが、民間に流れる彼のカリカチュアは右のようなものでした。アルプスの麓、オーバーバイエルンの湖水にてヴィッテルスバッハ家の青と白に塗られたボートに乗り、白鳥と戯れるルートヴィヒ。
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