ウクライナ紛争への私の思い。 2022.03.27
ウクライナ紛争に対する私の悶々とした思いをメモ帳に綴ってきたのですが、ここで公表したく思います。
(某月某日)
3月の上旬にテレビ朝日のウクライナ報道で識者たちの論議がなされていましたが、これ以上犠牲者を
増やさないためにウクライナは不利な条件でも即刻停戦に持ち込むべきという論議と、プーチン氏の要
求を認めることはウクライナから民主主義の自由さを奪い、ロシアの属国化する恐れがあるから容認で
きないという論議でした。
また、7日の讀賣新聞に載った某大学教授の論説に、ナチスドイツがチェコスロバキアのドイツ系住民が
多いズデーテン地方の割譲を迫ったとき、戦争になることを恐れた英国、フランスはドイツの要求を呑み、
チェコスロバキアはその犠牲となったが、その後、英仏の弱腰を見透かしたヒトラーは干渉はしてこない
だろうとポーランドにも魔の手を伸ばしてきたことから英仏が武力で応じることになって第二次世界大戦
が勃発したことを例に挙げ、今回のウクライナ問題もチェコスロバキアのときと同じであり、ウクライナで
妥協したら次はポーランド、ルーマニア、バルト三国と旧東欧諸国への侵攻へとエスカレートするかも知
れず、それを防ぐためにもウクライナ問題で妥協してはならないというのを見かけました。
某大学教授の論説は前の項目のロシアの属国化する恐れがある、という論説と同じものと言えると思い
ますのでここはこれらの抵抗しなければならないという案ををA案とし、即刻停戦に持ち込むべき案をB
案とします。
まず、A案から検討してみると、プーチン氏の要求は受け入れないことから戦闘は続き、そこにNATO以
外からも軍事的援助がなされたらますます戦闘は激しくなって長引き、ロシア軍も徹底した本格的侵攻
に切り替えて軍事施設と民間の区別もしない攻撃になることが予測され、多大な死者が出ることになる
でしょう。
そしてアメリカとNATOが直接的軍事介入をしない限り、ウクライナが勝利することは考えられず、いずれ
プーチン・ロシアの勝利の可能性が高いと思われます。
かなり激しくプーチン氏を非難し続けているバイデン大統領ですが、直接軍事介入はしないと宣言してお
り、アメリカとNATOが軍事介入をしてきたときは核攻撃も辞さないというプーチン氏の脅しにアメリカは、
下手に刺激しないために予定していたICBMの実験を中止し、偶発的事故を防ぐために米ロ双方の国防
省間にホットラインを敷設(ふえん)するくらい慎重なのです。
アメリカがこれほど慎重なのですからNATO加盟のヨーロッパ諸国も右へ倣いだと思います。
某大学教授が第二次大戦の教訓を持ち出しますが、第二次大戦勃発時前には核兵器というものが存
在しておらず、世界大戦が即、人類の破滅にもなりかねない甚大に被害を出すことはあり得なかったの
です。
しかし、今アメリカ&NATOとロシアが軍事的正面衝突したら核戦争になる可能性が飛躍的に増大します。
その及ぼす被害は想像もつかないものとなり、選択肢としては絶対に取ってはならない禁じ手なのです。
これを考えると、人的被害以外のどんな犠牲を払ってでも停戦にすべきであると私は信じます。
そしてもしB案がなされたらウクライナはどうなるのでしょう。
プーチン氏の要求するウクライナの非武装化と中立化、そしてドネツィク州、ルガンスク州は独立国家と
なり、ウクライナは独立した国家とは言えなくなりますが、最悪の場合、私はそれも仕方無いと思います。
国の独立を守るために多くの死者が出ることよりも、理不尽であろうとロシアに屈服して死傷者を出さな
い方が大切と私は考えます。
太平洋戦争で日本が敗北したとき、日本は非武装化され、サンフランシスコ講話条約が結ばれるまでの
6年間、7アメリカ軍の占領下におかれました。
チェコスロバキアはプラハの春と言われた民主化を阻止するためのロシアを筆頭とするワルシャワ条約
軍の侵攻を受けたとき、無抵抗でワルシャワ条約軍の要求を受け入れました。
しかし日本は朝鮮戦争が起きたことも要因となって再軍備をアメリカから承認されるというより、要求され
ることとなり、今、独立はおろか、世界有数の軍事力を持つ国となり、チェコスロバキアはソ連邦解体が
起きたために真の独立をすることができました。
同じ事を今回のウクライナ問題でも願わずにはおられません。
ロシアの政情が変わっていつかウクライナに真の自由が戻ってくることを。
プーチン氏はゼレンスキー大統領を退陣させ、親ロ派の元大統領だったヤヌコーヴィチ氏を復帰させるの
ではという観測がなされていましたが、そうなれば非武装化は防げるのではという期待感もあります。
(某月某日)
3月18日のタス通信の報道によると、ロシアの大統領報道官は17日、停戦協議に関し「軍を持ちながら軍
事同盟に入らないオーストリアやスウェーデンをモデルにウクライナを「中立化」する案を協議していると明
らかにしたとされています。
ロシアは当初、ウクライナに中立化だけでなく、軍事力の放棄を迫る「非武装化」を要求していたことを思え
ば随分、軟化したと思います。
これもウクライナの予想を大きく上回る反撃が功を奏したと思われ、その意味では多くの死傷者を出したウ
クライナの抵抗も価値を見いだせるのかも知れませんが、ゼレンスキー氏はここで手を打つべき絶好のチ
ャンスだと思うのに、ロシア軍を苦しめていることにまだやれると自信を持ったのでしょうか、妥協の動きが
見えないのはまことに残念な思いです。
それと、ウクライナのNATO加入阻止のことをプーチン氏が執拗にこだわることについての理由を、新聞や
ネットではほとんど触れられない東西ドイツ統一時のソ連とNATOの密約のことに由来することも触れてお
きたく思います。
ペレストロイカによって東西ドイツが統一するとき、NATO&アメリカはドイツよりも東側にNATOを拡大する
ことはしないとソ連と密約を結びました。
この密約の真偽については議論が分かれているようですが、私は別途に挙げる資料によって実際にあっ
たと思っています。
資料1
資料2
ただ、条約文として残さなかった口約束みたいなものなので、国際法的規制が働かず、NATO側は一貫し
てこの密約を否定し、その後、チェコ、ハンガリー、ポーランドなど東欧諸国が続々とNATOに加わりますが、
ハイパーインフレなどで混乱したロシアにはこれを阻止する余裕もないため、指をくわえて見るしか無く、
ソ連と後のロシアはこれを約束違反として強く根にもっていることは、西側に裏切られた、とエリツィン元
大統領が激怒したことや、今回のウクライナ問題で条約文にして残さなかったことを悔やんでいると言った
ゴルバチョフ元大統領の言葉からもロシアの首脳たちはこのことにひどくこだわっていることが解ります。
その怨念をプーチン氏は共有しており、今回の軍事侵攻に繋がったことも理解しておくべきだと思います。
そして私は以前記した、プーチン氏は冷静な現実主義者であると思っていた見込み違いを今、感じています。
いえ、かつてはそうだったのかも知れませんが、長い年月、権力を持ち続けると人間性まで変わってきた
のかも知れません。
いずれにしてもこのような人物を追い詰めるのは非常に危険だという思いにもなっています。