13位・29点(ベスト0人、次点29人)
◯万緑の中や吾子の歯生え初むる 中村草田男
万緑は草木が生い茂り、見渡す限り緑一色という状態をいう。 その万緑の中に、やっと歯の生え始めた幼いわが子がいる。 その幼い子は立っているのか、それとも親に抱かれているのだろうか。 この句は対比がよく語られてきた。 万緑という背景の中のわが子という近景。 たくさんの草木の中のひとりの幼子。 万緑という緑の中のわが子の歯の白。 たくましい草木の勢いのある生命力のの中に、少しずつ成長し命を育む幼いわが子がいる。 笑っていたのか、それとも泣いていたのだろうか。 開けた口の中に見える生えはじめた歯がかわいらしく、そんなわが子がたまらなく愛しく思えたのだ。 (解説・柳川彰治)
ーーーーーーーーー 私の拙句
●万緑につつまれ思わず立ち竦む
私は森が大好きです。 一人で森に出かけます。 誰も来ない森の奥まで進みます。 そこで鬱蒼とした草木に囲まれで仰向けに寝転びます。 木々の枝の隙間から少しだけ青い空が覗いています。 風があれば草木が擦れる音がしますが、そうでなければシーンとしていて全くの静寂の中です。 私は全身が多幸感に包まれます。
周りは緑一色です。 周りは草木が生い茂っています。 地面にも草や喬木がぼうぼうと生えており土などまったく見えません。 しいていえば木の幹や枝が緑でないのですが、それもみっしりと苔がは生えていたり、蔦が絡まっていてほとんど緑色です。
そこに狸か犬のような動物が顔を出しましたが、何とそれも緑一色です。 珍しい動物だなあ、と思って、ふと自分の手を見るとなんと緑一色になってます。 何か草の汁でもついたのかな、と思いながら水を飲もうと、水筒の蓋に水を注ぐとこれも緑一色。 なにか変だな、と思って手鏡で自分の顔を見るとこれまた緑色の顔になっていました。
いや〜あ、これこそ万緑そのものだ。
(創作です)
●万緑につつまれ思わず立ち竦む
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