物語としては男女のラブストーリーを基調としていますが、監督が描き、残そうと
しているのは紛れもないドレスデン空爆の実態です。
主人公の女性アンナが父親の経営する病院で傷病兵の看護に終始する情景
から始まり、ドイツ空爆の最中に打ち落とされて一人ドレスデンに逃げ込んだ
イギリス兵の逃亡の様子とやがて病院でアンナと出逢う展開、イギリスの空軍
司令室でドイツ本土の空爆の場所選定や司令を発するシーンなどこれらが同
時進行の形でドラマが進んでいき、やがて運命の1945年2月13日のドレス
デン空爆を迎えるというストーリー設定になっています。
出演俳優たちの演技もいずれも素晴らしく、記録フィルムもときおり交えた全
体的に暗い色調で彩られた映像は映画の重厚さを増させていました。
アンナの親友のこの女性はユダヤ人の夫を最後までかばい続けるのですが、
その夫婦愛、そして他にもユダヤ人を配偶者に持つ女性から引き離されて行く
夫や息子との別離の悲劇が深い印象を残します。
映画が始まってしばらくしてからエルベ河の向こうにバロック建築の並び建つ
暗いドレスデンの風景が初めて映し出されたとき、背筋がゾクッとするような戦
慄を感じたのですが、残念ながらその画像はありません。
これはアウグスト橋なのでしょうか。凍結した橋の上をドレスデン市民が移動し
て行きます。右上の画像は爆撃機から見る炎上するドレスデンの光景です。
そして空爆の日、空襲警報が鳴ってから防空壕に向かって移動する群衆が空
を見上げる中をイギリスの二百機以上もの爆撃機編隊から投下された照明弾
が夜空に無数に漂う様子は何とも言えぬ幻想的な光景であり印象深かったで
す。
空爆が始まります。
2度に渡って合計800機以上もの爆撃機の空爆を受けたドレスデンは一夜にし
て廃墟のような町になるのです。
聖母教会は二日後崩壊します。
下記はv. K. さんが実際に写してきた崩壊後の聖母教会像です。
私はこの画像を見たとき、あの無意味なドレスデン空爆を実施したものたちへの
激しい憤りを感じた事を今でも覚えております。
これはドイツ人だったら知らない者はいないというくらいよく知られた写真でドレス
デン空爆の直後、無名の写真家によって写されたそうです。
映画の中で空爆後一夜明けて高い所に登って見下ろすシーンがあるのですが、
まさにそっくりの光景でした。
ここ数年、「戦場のピアニスト」「男たちの大和」「硫黄島の戦い」と戦争映画を見て
きましたがいずれも印象に残る作品の中、この「ドレスデン、運命の日」は最も深い
印象を残しました。
このような優れた映画がほとんど一般に知られることなく見過ごされるのかと思う
と本当に残念に思います。
ドレスデンについてはv. K. さんの著書
「ドレスデンの落日と復活」がもっとも適切な
解説書であり、また彼の下記のホームページの中に収納されている一連のドレス
デン関連のレポートも素晴らしいものです。
v. K. 氏・ホームページ
また手打ち庵さんが三王システムHPに掲載されるレポートの白眉、
「手打ち庵ドイ
ツ紀行」の
Part2と
Part3が現代のドレスデンの格好な紹介となっております。
大阪での上映劇場&上演日程は下記をご参照ください。
ナビオTOHOプレックスシアター
上演日程
映画の公式サイトは下記のとおりです。
http://dresden-movie.com/